【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第17章 【R18】毒の華は華麗に咲く②
「月娘には皇室で思う存分にやり合える環境の方が性に合ってるだろ。」
「まぁ…瑞。」
「今世紀最大の毒の華なんだから、何をしても誰も驚かないさ。」
壬氏は月娘の肩を掴むと、彼女と向き合った。
「たとえそれが後継者第1位の皇太子を独り占めする事でも。」
むしろ壬氏は月娘がそうであって欲しいと願っている。
自分がそうな様に、もし壬氏の体に触れる女人が居るなら。
全力で月娘に阻止して貰いたい。
「…覚悟はいいのね?瑞…。」
「それは俺の台詞だろ。」
綺麗な笑みを浮かべてお互いの気持ちを確認し合う。
「月娘、このまま君を皇室に連れて帰る。」
「ええ?!」
ギュッと月娘の手を握る壬氏に、流石に今度は驚きの声が出た。
「今日はどんな馬車で来たと思う?」
輿入れの際には、相手の家紋の輿が花嫁を迎えに来るのだ。
そして花嫁は婚姻の礼服で輿入れをするのが習わしだ。
「私まだ婚姻の準備なんてしていないわよ。」
「ああ、問題ない。全部用意してある。」