【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第17章 【R18】毒の華は華麗に咲く②
冊封を掲げて、その頭を上げた瞬間に。
月娘は壬氏の妃になる。
その重みを感じながら月娘はゆっくりと頭を上げた。
そしてすぐに嬉しそうに笑って自分を見ている壬氏と目が合う。
月娘は壬氏と同じくらいに目尻を下げて壬氏に抱き付いた。
「鄭・夏潤を連れて行け。」
壬氏は月娘の顔を自分の胸に押し込めながら武官にそう伝えた。
夏潤はもう何も言わなかった。
月娘は目の端で連れて行かれる夏潤を見たが、目を瞑るともう夏潤の姿を追うことはしなかった。
僑香だけは夏潤の姿が見えなくなるまでその姿を見送っていた。
夏潤の姿が見えなくなって、僑香はゆっくりと振り返った。
僑香の目に、お互いを愛おしそうに見つめ合う壬氏と月娘の姿があった。
その姿を見て、僑香はやっと笑顔になった。
「…… 月娘が素直に応えてくれて良かった…。」
不安から解放された様に、壬氏は大きく息を吐くと肩の力を抜いた。
その壬氏の言葉に月娘はキョトンとした顔をした。