【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第17章 【R18】毒の華は華麗に咲く②
何度も何度も瑞月が迎えに来てくれる事を夢見ていた。
今やっと、その願いが現実になった事に月娘の瞳から涙が溢れた。
「……瑞…。」
「月娘!」
月娘が腕を伸ばすより先に、壬氏は月娘の元に足早く進み彼女の体を強く抱き締めた。
その脇では、夏潤が武官達に押さえつけられて床に膝またかされていた。
「…遅くなって悪かった…。」
耳元で聞こえる壬氏の声に、月娘は目を瞑ると大きな雫が頬を伝った。
「…いいえ瑞。分かってた。」
あの時夏潤に壬氏と離された時、壬氏の目を見た時からこの瞬間を確信していた。
『今度は皇弟として迎えに来る。』
言葉は無くてもあの刹那の時に交わした目線だけでお互い何をすればいいかもう分かっていた。
壬氏はすぐに月娘から離れると、跪いている夏潤を見下ろした。
「鄭・夏潤。俺は何度も言ったよな?月娘の体に触れられるのはただ1人だけだと。」
そう言った壬氏の声は低くて、側に居た僑香ですら体が震えた。