【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第17章 【R18】毒の華は華麗に咲く②
月娘がそうハッキリと夏潤に言い切って、夏潤は何も言えなかった。
ただ月娘を見返しているが、その目は先程まであった熱い眼差しは無くなっていた。
そしてその頃、朴家の門前で何やら騒がしく人集りが出来ていた。
その人集りはどんどん夏潤の棟まで近寄ってきて、部屋に居る月娘達にもその騒めきは聞こえて来た。
誰かが皇室に居る朴太師に連絡する様に叫ぶ声が聞こえる。
その緊迫感で、僑香と夏潤は動揺している様に近寄ってくる人集りの足音を聞いていた。
その中。月娘だけがまるでこの状態を分かっていたかの様に顔色1つ変えなかった。
大きな音を立てて夏潤の部屋の扉が開かれた。
「鄭・夏潤。」
扉が開かれて大勢の武官が入ってきて、その中心に彼は居た。
月娘は壬氏の姿を見て、やっとその顔を緩ませた。
宦官壬氏ではなく、皇室の証の龍の簪をし、腰元にはその身分を明かす玉璽を携えている。
ずっと待っていた皇弟の瑞月がそこに居た。