【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第17章 【R18】毒の華は華麗に咲く②
「あの人は1度も綺麗に私を娶ろうなんてしなかったわ。策略を考え、身分を偽り……。ねぇ…ここまで言えば分かるでしょう?誰が私を欲しているのか。」
夏潤が月娘の言葉で思い描いた男はただ1人。
いつも月娘の側にいて、彼女に触れている宦官壬氏だ。
「それに私を誰だと思っているの?」
月娘はそこでやっと夏潤の手を払った。
夏潤が触れていい相手では無いと主張する様に。
「私は悪名高い毒の華よ。貴方が私をそうさせたのじゃない。私がそんな些細な事で瑞に嫁ぐのを辞退すると思う?そんなの私じゃないわ。」
誰に批判されようが、どんな処遇を受けるかなんて関係ない。
壬氏の側に居られるなら。
どんな場所でも華麗に咲き誇ってやろう。
そして、そんな月娘の隣に座るのはただ1人。
壬氏だけだ。
「夏兄様。悪名に怯えて言われのない悪意に泣いていた私はもう居ないのよ。」
そんな憂いは全て壬氏が壊してくれた。
何度も何度も縋って愛を囁いた。
毒の華は果たしてどっちだったのだろう。
あの誰よりも美しい男の毒に侵されたのは月娘の方なのではないか。