【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第2章 後宮の外に毒の華が咲く②
皇室に入る事を諦めたのは、壬氏のせいだけでも無い。
自分の業が邪魔をしている事も分かっていた。
だけど、それでもまだ…。
『貴方にはもっと相応しい正室が居るでしょう。』
そんな言葉で身を引く事が出来ない位には。
彼を愛していた。
幼稚な行動とは分かっていた。
だけど、他の人の元へ嫁ぐ最後の瞬間まで。
枋家の令嬢として、彼の側に居たかっただけだ。
(……そう言えば、流行歌の『毒の華』とはどう言う意味なのだろうか…。)
実はずっと分からなかった。
だけどもしかしたら…。
月娘は翠緑色の髪をした女の子を思い出した。
(猫猫なら、その謎を解いてくれるかも…。)
壬氏が構っている少女を見たら、もっと嫉妬に狂うかと思った。
だけど彼女を見て。
まぁ彼女なら。
彼の隣に居てもいいかもと。
そんな柄にも無い事を少し考えた。