【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第2章 後宮の外に毒の華が咲く②
「大丈夫でしたか?月娘様。」
壬氏の部屋を出ると、もう1人の侍女の僑香が月娘の側にすぐに来た。
「……才人の件は大丈夫よ。」
才人を殺した犯人は彼女の侍女だろう。
動機に関しては、壬氏が調べてくれるだろう。
しかし、枋家で起こったもう一つの事件。
彼女の死に関してはまだ何も解決していない。
むしろ月娘にとってはそっちの方が問題だった。
(……いつもの様に私が癇癪で殺した事にしておけば、丸く治るだろう…。)
諦めた様に月娘はため息を吐いた。
その息には怒りも含まれている。
本当に気付け薬を飲まなければ怒りで殺到してしまいそうだ。
こうして月娘が罪を被る度に。
瑞月へ輿入れする未来がどんどん遠のいていた。
誰が癇癪で人を殺す様な女に、皇室に入って貰いたいだろう。
民がそんな事を望むはずも無いのに。
(まぁ、それこそが『アイツ』の望んだ通りなんだろうけど…。)