【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第17章 【R18】毒の華は華麗に咲く②
月娘が子供を作れないかもしれない。
皇室内にとって、それは月娘を排除するには十分な理由だった。
「……父様はなにも…。」
「誰にも漏れない様に口止めをしていたのは俺だ。」
夏潤は月娘の不妊の事は口外するつもりは無かった。
彼にとってそんな事はどうでも良かったし、月娘はここまで追い詰める前に壬氏から離れると思っていなかったからだ。
(…月娘が子供を作る事が出来ないかもしれない……。)
やっと壬氏の頭の中にその言葉が理解出来た時。
月娘を抱いていた壬氏の手が緩んだ。
その瞬間を見逃さずに、夏潤は壬氏から月娘を抱き上げた。
離れていく壬氏を月娘が見た時、同じ様に自分を見ている壬氏と目が合った。
月娘は夏潤から離れたくても体に力が入らなかった。
壊れた人形の様に夏潤に抱き上げられる。
「月娘は朴家で養生させる。皇室には絶対に渡さない。」
そう言って月娘を連れ出そうとした時に、月娘は壬氏を見た。
その時の壬氏の表情に、月娘はこれから何が起こるのか理解した。