【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第16章 【R18】毒の華は華麗に咲く
しばらくキスを繰り返して、壬氏が安心した様に唇を離した。
「はぁ…月娘。」
再び愛おしそうに月娘を抱き締める。
「あんなに俺を好きだと言って夜を過ごしたのに、なんでずっと会ってくれなかったんだ?」
「………………。」
月娘は壬氏の言葉に目を細めた。
それはこの5年間壬氏が月娘にした事では?
少しは月娘の気持ちを分かってくれたのだろう。
壬氏は本当に疲弊した様に月娘を抱き締めている。
「……あなたは私が居なくても別に楽しそうに過ごしていたみたいだけど…。」
月娘は先程見た光景を思い出して低い声で壬氏に言った。
「…月娘には楽しそうに見えたか?」
「………………。」
それは勿論。
そう見えた。
「…月娘。俺はお前以外をこの心に残した事は一度も無い。」
月娘と会ってからのこの15年間。
彼女以外に壬氏の心を揺さぶった女人なんて1人も居ない。
「俺の今生の女人は、月娘ただ1人だ。」