【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第2章 後宮の外に毒の華が咲く②
「……もう一度侍女を尋問する様に、千将軍に伝えてよう…。」
それであらかたこの事件は解決するだろう。
壬氏はため息を吐いて目線を落とした。
「………もう話す事が無いなら帰るわよ。」
月娘がそう言うと、テーブルの上にあった壬氏の拳が強く握られた。
……………。
コレはもしかして……。
月娘様が隠したかったのは、薬店の息子との婚姻だったのか?
2人の沈黙にただならない気配を感じて、猫猫は全力で自分の気配を消した。
(……話す事なんて……。)
あり過ぎて何から言えばいいのか分からない位だった。
月娘の婚姻についても問い詰めたい!!
しかし、ここ後宮で、壬氏として。
月娘にかける言葉は何も無いのだ。
壬氏のその苦悩を分かっているから、彼が何も言ってこないのは分かっていた。
月娘はスッと椅子から立ち上がった。
「月娘。」