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【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】

第15章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜⑥


月娘はあまりに苦しかった行為に。

早くこの行為が終わってくれる事を望んだ。



壬氏の気持ちとか。

自分の気持ちとかが溢れだしてきて。

この瞬間は幸せな時間だと考えていた。



けど実際はそんな感情よりも強い情欲の前に、育ててきた綺麗な恋心も。

全てかき消された。



苦しめる様に月娘の体を揺さぶって、痛みを与えられているのに。

薄っすらと目を開けて見上げた壬氏の紅潮している顔に。

今まで感じた事の無い衝撃が胸の奥から溢れた。



小さな恋心を育ててきたその心を全て塗り潰す。

その衝撃は『目の前の男が欲しい』。

たったそれだけの気持ちだった。



ただ壬氏の側に居たいと願っていた幼い少女の恋心は。

その瞬間に、欲望が初めて生まれた。



「っ…っ!月娘っ…。」

壬氏の顔が苦しそうに歪み、ギュッと月娘を抱きしめた。



ずっと痛みの為に逃げようとしている月娘の体を押さえつけていた手が震えていた。

緩くなった壬氏の拘束に、月娘はやっと体を動かせた。
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