【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第2章 後宮の外に毒の華が咲く②
「それはめでたいです!!私を侍女として連れて行ってくれませんか?!!」
「………薬屋…黙ってろ…。」
壬氏は両肘を付いて、手を組むと口元を隠した。
顔を少し俯かせたのは、月娘に自分の表情を見せたくなかったからだ。
(今自分がどんな顔をしているか分からない!!!)
顔を青くして、冷や汗が勝手に出てくる様だった。
カタカタ小刻みに肩を震わせている壬氏を見て、月娘は目線を外してまたため息を吐いた。
「だから、枋家の名前で薬材のトリカブトを買いに行ったなら、簡単に手に入るわ。」
「…………高順…。枴家に行って帳簿を確認して枋家の名前を調べろ。」
「………はい。」
何とか高順に指示は出せたが、伸ばした指先はすぐに重力に負けた様にテーブルに落ちた。
「…お前が買わせたと言う話になるぞ。」
「一緒に枋家の帳簿と私の帳簿も提出するわよ。トリカブトを買った形跡なんてないだろうから。」