【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第2章 後宮の外に毒の華が咲く②
「……まぁ、そんな所よ…。」
イラッとした顔を隠さずに、月娘は壬氏を睨んだ。
「枴薬店の品物よ。」
「枴薬店!!??あの都で1番大きい!!」
途端に猫猫の目が輝いて身を乗り出して月娘を見た。
そんな大きな薬店ではどんな薬材を扱っているのだろう。
月娘と仲良くなれば、枴薬店にも連れて行って貰えるかもしれない。
「………………。」
壬氏には猫猫の思考が手に取る様に分かったので、身を乗り出してきた猫猫の頭を黙って押し戻した。
「それで?その有名な薬店の薬がなんだ?」
「………………。」
壬氏が聞くと、月娘は何やら言いづらそうに顔を背けた。
「??」
月娘らしかぬ反応に、壬氏もまた眉を顰めた。
「……そこの息子と婚姻するの。」
「………………。」
「は?」
「だから。私枴家に嫁ぐのよ。」
「………………。」
月娘の言葉に壬氏が固まった。