【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第15章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜⑥
「………本気なのか、月娘。」
「……私は本気です。」
月娘が一言そう言うと、2人だけの部屋に静かさが足押せた。
それは壬氏の全身を身震いさせた。
月娘が本気で自分から離れようとしている。
そう分かって、壬氏は部屋の扉を開けた。
そして扉の前に居る高順を睨み上げる。
「この部屋を人払いしろ。」
壬氏のその顔に高順の顔が一瞬曇った。
そして部屋の中にいる月娘に目をやる。
高順と目が合って、月娘もまた同じ様に顔を顰める。
心配そうにしている高順を見て、落ち着いた様に壬氏が言った。
「乱暴な事はしない。2人きりで話がしたいだけだ。」
月娘もまた、壬氏が自分に何かするなんて思っていなかった。
しばらく考えた高順は、一礼すると言われた通り部屋の周りの人間を払った。
再び部屋の扉が閉められた時に月娘の眉が動いた。
「……月娘。俺は決めた事を変えられない。月娘以外の妻を娶る事も。それが皇太子の立場で出来なかったから、今の立場になったんだ。」