【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第14章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜⑤
だけど、その月娘の気持ちすら彼には不要だった。
正妃でない事がそんなに重要なのだろうか。
現帝の様に、皇太子時代は他の妃を娶らずに2人で過ごせるかもしれない。
帝は10年正妃と過ごしたと聞いている。
月娘は。
そんな刹那の時間だけでもよかった。
他にも女官見習いがいて、その女人達や親の官僚達に数えきれない嫌がらせを受けた。
それでも戦ってこれたのは、その刹那の時間の為だった。
ただ瑞の側に居たかった。
それはそんなに彼を怒らせる事だったのだろうか。
後宮に入り、彼だけの妻になり、これから先に過ごす男性は壬氏しかいない。
もし彼に他の妃が出来て、その女人に嫉妬するかもしれない。
だけどその度に壬氏は月娘の宮に来て、月娘の機嫌を取る。
夜伽を他の女人と過ごしたら、月娘は10日は口を効かないかもしれない。
だけどきっと壬氏は毎日月娘の宮に現れて、月娘に許しを乞うのだろう。
そんな…。
平凡な毎日で良かった。