【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第14章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜⑤
壬氏の言葉を理解した時に、月娘の目の前が真っ暗になった。
それは…いつまでなのだろうか。
寒くも無いのに手足が震えた。
声を出そうとしても、震えている喉がそれを邪魔する。
「……嫌です……。」
震える声で月娘が絞り出せるのはそれだけだった。
「…月娘…。」
壬氏が膝を伸ばし、月娘の両肩に手を置いた時に、やっと月娘は大きく息を吐いた。
「嫌です瑞!…何でですか?!私は側室にもなれないと言う事ですか?!」
息を吐いた後に、堰を切ったよう様に月娘は壬氏に言った。
ジワっと目の奥が痛くなったけど、涙は堪える事が出来て赤い目で月娘は壬氏を見上げた。
「……俺は月娘を側室にしたくない。」
月娘の顔が歪んでいる様に、同じ様に壬氏の綺麗な顔も苦悩を表している。
だけど。
到底そんな言葉だけでは納得出来なかった。
「瑞…もう待てません。どうか私を後宮に入れて下さい。」