【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第13章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜④
「僑香、この春画分かる?」
月娘は老先生から貰った春画を僑香に見せて言った。
「……私には想像も出来ません…。」
月娘から見せる春画を見ない様にして、僑香の顔は真っ赤だった。
……可愛い反応だな…。
僑香の表情を見て、これが普通の反応だと月娘は思った。
僑香を揶揄うのをやめて、月娘は春画をしまった。
それでやっと僑香は月娘を見た。
「…やっと皇太子殿下に嫁ぐんですね…。」
僑香は春画をしまった月娘を見て、嬉しそうに呟いた。
そんな僑香の言葉に、月娘は目を伏せて少し暗い顔をした。
「……結局、私は側室にしかなれなかったけどね…。」
その月娘の暗い表情の理由を僑香は知っている。
月娘に対しての根拠の無い悪評が、彼女を正妃にならない理由と分かっていた。
だけど目の前の少女は、それでも壬氏に嫁ぐ事に喜んでいる様に見えた。
何も言えない僑香に気が付いて、月娘はすぐに言った。
「瑞に嫁ぐ日が待ち遠しいわ。」