【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第13章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜④
早く後宮に入らなければ、これ以上は夏潤が何をするか分からない。
そうしたら、側室としても後宮には入らないかもしれない。
月娘はその方がずっと辛かった。
暗い顔をしたままの月娘を慰めも出来ないで。
僑香もまた顔を顰めながら、その月娘を見ていた。
そんな2人の間に、月娘の宮に入って来た者が居た。
慌しく入ってきたのは、月娘の父親の枋太師だった。
「皇宮から冊封が来たぞ。」
その言葉に月娘は大きく目を見開いた。
やっと……。
やっと壬氏に嫁げると思ったからだ。
しかし、枋太師から出た言葉は、そんな月娘の期待とは全然違うモノだった。
「……前帝が崩御した。」
「!!!」
その冊封は、前帝が崩御した知らせだった。
(……前帝が…?)
月娘はその知らせの意味を分かった。
これから皇室では前帝の葬儀が行われるだろう。
壬氏の月娘の婚姻は、見送られる事になった。