【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第13章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜④
「殿下がちゃんと理解出来ていないと、困るのは月娘様ですよ…。」
高順の言葉を聞いても、壬氏の心は揺れなかった。
冊封が出て、実際に月娘が嫁いでくるのは14歳だ。
しかし、壬氏はその婚姻を伸ばそうとしている。
つまり、初夜を迎えるのは近い将来では無い。
(……月娘に婚姻を伸ばす事を言えなかった。)
本当はもっと早く話さなければならないと分かっていた。
だけど自分の元に嫁いでくると喜んでいる月娘に。
壬氏はどうしても言い出せなかった。
(月娘と話をしよう……婚姻の時期を伸ばすから、夜伽の事も今心配しなくていいと…。)
月娘なら、彼女以外を娶りたく無いと言う自分の気持ちを分かってくれる。
先日は他の女人と夜伽をしてほしく無いと言っていた。
その事実を伝えても、月娘は分かってくれる。
壬氏は自分の考えを大大大だと何度も心の中で唱えた。
なのに、拭えない不安もあって、壬氏はまだ月娘に伝える事は出来なかった。