【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第13章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜④
「…高順……、私からもお願い……。」
「…………………。」
高順は、月娘なら本気で壬氏を説得してくれると思っていた。
「……殿下が真面目に勉学してくれるなら…。」
そう言うと、2人の顔はすぐに明るくなる。
その顔は幼く、まだ彼らが13歳だと言う事を改めて感じさせた。
高順が月娘の願いを叶えたのは、この先近い将来に待ち受ける彼女の立場を考えたからだ。
壬氏がどう頑張っても、月娘が側室になる事は覆る事は無いだろう。
そしてその後は、側室は増え続けるのだ。
それが後宮だ。
いつかその立場に辛い思いをするのなら、せめて今の2人の願い位叶えてあげたかった。
そしてこの話が、壬氏の固まっている気持ちを緩和させるとも思った。
これがきっかけで、皇太子を降りるなんて、そんな事を考え直すのではないか。
そんな事も考えた。
壬氏は月娘をとても愛している。
愛している女人を妻にしたいと思うなら、男なら当たり前の気持ちだ。
夜伽教育で、壬氏が月娘との結婚生活を想像しやすくならるなら、この妥協は意味がある。