【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第13章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜④
月娘の気配はすぐに分かった。
壬氏は月娘の手が自分の体に触れると、すぐにその体を強張らせた。
「来るな月娘。俺はお前が何を言うのか分かっている。」
壬氏は月娘がこんなに自分に無力に打ちひがれている自分に、何を言ってくるのか想像出来た。
それが壬氏にはどうしても我慢が出来なかった。
壬氏のその言葉を聞くまで、月娘は壬氏が想像する様な言葉を掛けようとしていた。
だけど、大きな体を小さく埋めて、自分を拒否している壬氏を見て、月娘は自分が言おうとしていた言葉を飲み込んだ。
「……瑞…私は……。」
壬氏に払われた手を握って、月娘は顔を顰めた。
「貴方が私以外と夜伽をしたくないと聞いて喜んでる。」
そう縛り出した様に言った月娘の言葉に、壬氏は被った布団の中で目を見開いた。
しばらく月娘の言葉を頭の中で反復させていた。
信じられなかった。
月娘ならいつもの様に平然に、何故皇太子として負わなければならない責務から逃れようとするのか叱責してくるかと思っていた。