【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第13章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜④
「……と言う訳で、殿下は今部屋に引き篭もってます。」
「…………………。」
月娘は高順の言葉を聞いて、東宮に篭っていると言う壬氏の部屋を見た。
「……分かりました…高順…。少し殿下と話でみます。」
そう高順に言っても、少し胸が疼いた。
月娘以外絶対に夜伽をしないと言う壬氏を。
馬鹿な人だと思いながらも。
その彼の気持ちに顔が緩んでしまう。
しかし、月娘は皇后になる為に教育された女人なのだ。
彼女は決して壬氏の望む様な行動は取れなかった。
月娘はゆっくりと壬氏の部屋の扉を開いた。
昼間なのに薄暗い部屋の中に、壬氏の姿は無かった。
月娘は部屋を見渡して、寝台に蹲っている壬氏を見つけた。
高順が言うからその壬氏の姿は簡単に想像出来た。
そうでなければ、壬氏は月娘が来たならすぐに笑いながら抱き締める人だったから。
「……殿下……。」
月娘は寝台に近付いて、蹲っている壬氏に声を掛けた。