【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第13章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜④
「月娘にとっては必要な事だよ。月娘は正妃になるのだから、俺と一緒に政をやる必要がある。」
「…正妃?私が?」
壬氏の正妃になり、彼が帝なったら月娘は皇后になるのだから。
月娘はまだ壬氏の言っている事が理解出来なかった。
「嬉しくないの?月娘。」
困惑した顔をしている月娘に、壬氏は伺う様に聞いた。
「…だって、側室として冊封が届くって……。」
月娘がそう言うと、壬氏は目を顰めた。
「月娘。俺は月娘を側室で迎える気は無い。」
そう言って壬氏は再び月娘を抱き締めた。
言いたかった事は、だから今回の冊封は出さずに、婚姻を延期すること事だ。
壬氏は月娘に見えない様に、強く顔を顰めた。
なのに月娘を前に、彼女に婚姻を延期する事を伝えられない。
壬氏も月娘が自分に嫁いで来る日をずっと待っていたのだ。
なのに、帝の東宮が育って、皇太子を辞めるなんて。
何年かかるか分からない時間を月娘に強いる事になる。
その間、自分は宦官として後宮に入ると言ったら、今よりもっと会えなくなるのは分かっていた。