【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第13章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜④
私も随分と悪人になったモノだ。
この3年管、夏潤の執拗な嫌がらせに称賛しそうだ。
月娘の評判が悪くなると、女官見習いの中でも同じ様に月娘を貶めようとする家門も増えてきた。
その周りの悪意になんとか堪えていたのも、もうすぐ冊封が皇居から出ると分かっているからだ。
(瑞が私を後宮に入れてくれる。)
それだけがこの悪意に満ちた世界で唯一の救いだった。
噂では正妃にはならないと言われている。
だけど月娘にはどうでも良かった。
側室だろうと、どの位の妃でもなんでも良かった。
壬氏に会える。
そして後宮で壬氏と一緒に暮らせるなら。
どんな待遇でも良かった。
前帝の件があってから、壬氏はますます東宮に月娘を皇室に呼ばなかった。
それでも耐えれた。
ただ、もう静かに…。壬氏と一緒になりたい…。
月娘の気持ちはそれだけだった。
「この前の梅狩りはとても素敵でした。」
月娘が呼ばれていない宴の話が女官見習いの中でされるのはよくある光景だった。
その度に聞こえてくる壬氏の話に、月娘はいつも彼の姿を想像していた。