【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第13章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜④
「貴方様が東宮で無くなる事なんて出来ません!!」
「……そうか?」
壬氏は考えた。
このまま皇太子で居ても、月娘と望んだ未来にはならない。
壬氏にとって、月娘以外の妃を娶る事など絶対に受け入れられなかった。
それに…。
帝の男児こそが東宮になるべきだ。
「……宦官になるか……(ボソッ)」
「!!!!!何を言ってるんですか?!!」
こんなに慌てた高順を見るのは初めてだった。
「婚礼を取りやめるなんて、月娘様が悲しみますよ!!」
その言葉に、壬氏は少しだけ眉を動かせた。
……本当に月娘は悲しんでくれるだろうか…。
月娘は俺の妃になりたいと、今でも思ってくれているだろうか…。
壬氏は変わってしまった月娘の気持ちが分からなかった。
本当は、今のこの瞬間も月娘は苦しんでいると…。
そんな事を想像すら出来なかった。
それでも壬氏は、月娘だけを妃にする。
その気持ちだけは変わらずにここまで来たのだ。
今から出来ませんでしたで済むような気持ちでは無い。