【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第12章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜③
少し前に欧陽大臣の娘を女官見習いから追い出した枋太師の娘。
見事に皇太子殿下の婚約者となった。
婚約者となった枋太師の娘は早くもその性質を表した。
後宮の習わしも彼女には関係ない。
毒の華と言われる月娘の誕生だった。
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「〜♪〜♪……」
月娘はその鼻歌で目を覚ました…。
鼻歌を歌っていたのは夏潤で、月娘は火も灯していない暗い部屋で夏潤の姿を確認した。
「………………。」
月娘はその歌を聞いていた。
夏潤がいつも陽気に歌っている毒の華では無い。
似ているけど少し違う。
ああ…そうか…。
また新しい詩が作られたんだ。
最初に詩を歌われたのは10歳の時。
その時からいつも何か起きる度にこうして詩になり、瞬く間に月娘は世間の中心になる。
(……ああ…花街の事がもう知れ渡ったのか…。)
これでまた壬氏から離れてしまうのだろうか。
もう何度目だろう。