【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第12章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜③
「起きたか?俺の小可愛子。」
目を開けた月娘に気がつくと、夏潤は寝台までやって来て月娘の顔に触れた。
体の傷のせいで、月娘は熱を出していた。
僑香に月娘の体の傷の手当てをさせたら、夏潤はそのまま月娘を自分の棟に置いた。
そしてこうして自分の元で月娘の看病をする。
顔の熱を取るのに布は使わず、夏潤は自分の手を水で冷やして月娘の顔を触れてくる。
何度も何度も触れてくる夏潤の手を感じて月娘はまたゆっくりと目を閉じた。
その手が昔の様に自分の為に触れていない事が分かっているから。
月娘の目から涙が溢れた。
もうあの時の様に信じていた夏潤はそこにいない……。