【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第12章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜③
(…本当はもっと早く月娘に会いたかったけど、結局こんなに日が経ってしまった。)
壬氏はあの日、月娘から離れたく無かった。
あのまま自分の部屋に月娘を閉じ込めて、彼女が流した涙を拭い。
肩が震えていたら、震えが止まるまで抱きしめて。
彼女の頬や唇にたくさんキスをして。
彼女が眠りに付くまで、その小さな身体を抱きしめていたかった。
月娘を婚約者にする為の公務に追われて、月娘には皇室からの手紙だけしか送れなかった。
(… 月娘はあの手紙を読んで喜んでくれただろうか…。)
それだけを糧に、あの時から公務をやり遂げた自分と同じ様に、少しは月娘の心を楽に出来ただろうか。
壬氏は月娘が喜んでいると疑っていなかった。
3年も大変な思いをさせてしまったけどこれからは違う。
これからはやっと月娘に触れ、月娘を自分の横に置ける事に。
壬氏は胸が張り裂けそうなほど幸福を感じていた。
だから。
月娘の行動が壬氏には理解出来なかった。