【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第12章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜③
特に皇太后の血縁である美雨(メイユイ)は妃候補から外すのは骨が折れそうだ。
「………………。」
壬氏は執務室の机を人差し指でトントンと叩いた。
考えごとをしている時の壬氏の癖に、高順は黙ってその姿を見下ろしていた。
今回の件で、皇太后にはかなり弁を計って貰った。
月娘への配慮、婚約への後押し。
しかし皇太后とて、壬氏が月娘以外の妃を娶らないと画策している事までは思っていないだろう。
皇后を月娘にしたとしても、自分の信頼ある血縁者を壬氏の側に置きたいはずだ。
それもまた、彼女の政でもあるのだから。
壬氏はまだまだやらなければいけない事に、深いため息を吐いた。
しかし、その杞憂さは今までに比べれば楽なモノだった。
何よりこれからは、公の場で月娘と会える。
もう月娘を隠さなくても良いからだ。
そして今は他の女官見習い達への無駄な配慮をしなくて良い。
月娘以外の女人に会う事がかなり少なくなって、壬氏は今精神的にかなり楽だった。