【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第12章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜③
「……ご機嫌ですね…。皇太子殿下…。」
今にも鼻歌が出そうなほどニコニコしている壬氏を見て、高順は理由は分かっているが思わず伝えたくなった。
顔に出過ぎだから。
「もうすぐ月娘に会えるからな。」
もうすぐ自分の誕生日で、月娘が贈り物を渡しに来る。
壬氏が望んだ贈り物。
きっと月娘の事だから、気持ちを込めて作ってくているはずだ。
そしてその月娘の気持ちを、いつも肌身離さず付けていたい。
大勢の女官見習いの中で、月娘だけが唯一壬氏が身に付ける物を贈る。
婚約発表の後の初めての公の行事だ。
そこで誰もが月娘こそ、唯一の壬氏の女人だと認めるだろう。
月娘と婚約すると発表した後、壬氏は多大な公務に追われていた。
他の女官見習いの親達…。
つまり高位官僚達との政。
その全ての駆け引きは、嫌気がさすほど面倒くさかったが、お陰で大勢居た女官見習いはだいぶ縛られた。
本当は全ての女官見習いを無くしたかったが、流石にまだ出来なかった。