【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第12章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜③
皇室の発表はすぐに枋太師の邸にも伝わった。
自分が壬氏の婚約者となったと言う知らせを、月娘は壬氏からで無く、皇室の宦官から聞いたのだ。
自分に渡された巻物を見た月娘の顔には笑みは無かった。
「おめでとうございます。月娘様。」
その朗報にも笑みを浮かべない月娘の変わりに、僑香は祝いの言葉を月娘に言った。
月娘はその報告を聞いた時。
枋太師からの命令で自分の邸に閉じ込められていた。
まるで月娘が後宮に居たからこの様な事件が起きたと言わんばかりに。
壬氏もまた。月娘を婚約者として公表はしたが、後宮に月娘を呼ぶ事は無かった。
月娘は考えた。
アレは自分の軽率な行動が起こした騒動だったのか。
抵抗した体を押さえつけられて、体の隅々まで事務的に確認された。
あんな屈辱を与えられるほどの罪を自分は犯したのだろたか。
ただ。壬氏の側にいる為に後宮に学びに行っていただけだった。
彼の唯一の存在になる為だけに。
幼い2人が互いに思い浮かべていた未来の為に。