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【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】

第12章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜③


皇太后と女官に挟まれて、連れて行かれる時に壬氏と目が合った。

「…瑞…。」

月娘が不安そうに声を出したので、壬氏は思わず体を押し出した。



その壬氏を止めたのが高順だった。

月娘が連れて行かれたのは、前帝の手が付いていないか調べる為だった。

それが分かっていたから壬氏も無理について行こうとはしなかった。



壬氏は青い顔をして、その場に倒れ込みそうになった。

「殿下!」

壬氏の体を抑えたのは高順で、壬氏は高順の袖を強く掴んだ。



荒い息を何度も吐いて、息苦しそうに胸を抑える。

目頭が熱くなって、我慢出来ずに涙が流れた。



もし。月娘の体に前帝の痕があったら…。

想像するだけでその場に蹲りたい位に胸が痛かった。



「……月娘の側に行く…。」

それでも壬氏は先程の月娘の顔を思い出した。

不安そうに涙目になりながら壬氏の名前を呼んでいた。

そんな月娘を1人には出来なかった。



何を言っても止める事は出来ないと高順は分かっていた。

壬氏が向かう先に、高順も重い足取りでついて行った。
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