【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第12章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜③
「!!!!」
中から出てきたのは月娘だった。
月娘は俯いて歩いていたが、潜門にいる人達に気がつくと、その異様な雰囲気に体を強張らせた。
「月娘!!」
真っ先に壬氏が月娘の元に向かい、枋太師も後に続いた。
「大丈夫か?!月娘!!」
自分の父親が不安そうに抱き付いてきた。
父親の背中越しに見る壬氏の顔もまた、顔を歪めたままだったので、月娘は同じ様に顔を歪めた。
「中で何がっ…!」
そう聞かれた時に月娘の肩がピクッと震えた。
「あ…あの……。」
月娘はオズっと手に持っていた紙を握りしめた。
その時初めて枋太師は月娘が何か持っているという事に気が付いた。
「…前帝に…絵を描いて貰いました。」
震えた手で月娘は紙を枋太師に見せた。
枋太師が見た絵には、月娘らしき少女が丁寧に描かれていた。
「……月娘はこちらへ…。」
絵を枋太師に渡すと、皇太后が月娘の背中に触れた。