【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第12章 【R指定】初恋的回忆〜初恋の思い出〜③
2人がそんな話をしていると、中央宮の中から女官見習いの女達がゾロゾロと出て来た。
壬氏はすぐに女官見習いに目をやる。
「………………。」
しかし、しばらく見ていても月娘の姿は見えなかった。
「…月娘様、どうしたのかしら。」
僑香も困惑しながら彼女達の中から月娘の姿を探している。
「皇太子殿下。」
壬氏の側に高順が勢いよく来た。
その高順の様子から、良い報告では無い事がすぐに分かった。
「…月娘様が…。」
壬氏に耳打ちする高順は目を強く顰めていて、一生懸命感情を殺す様に壬氏に言葉を伝えていた。
「……なんだと…。」
壬氏は高順の言葉を聞いた途端に顔を青くさせた。
月娘が前帝に旧後宮に連れて行かれた。
その意味を壬氏はすぐに分かった。
まるで地面に叩きつけられている感覚だった。
手足の先の感覚が無くなり、見ないふりをしていた嫌悪感が一気に全身を駆け巡った。
自分の父親の悪癖は自分が1番分かっていた。