【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第11章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜②
月娘は中央宮に居る時も1人にはならなかった。
理由は壬氏は他の人が居るときは月娘に近付かないと分かっていているからだ。
月娘の思った通り、壬氏と宮中で会っても彼は月娘の元には来なかった。
何か言いたい事がある様に月娘を見ているが、月娘はあえてその壬氏の目線を無視した。
こんな時ですら、駆けつけて来ない壬氏に余計腹がたったからだ。
何故、あの女人に簪を贈ったのか。
何故、自分には会いに来てくれないのか。
月娘が望んでいたのは、壬氏の言葉だった。
言い訳でもなんでも壬氏の口から聞きたかった。
彼の言葉に納得出来なかったら、自分の不満を彼に伝えて。
そんな風に話がしたかった。
コソコソと壬氏に会うのではなく。
月娘と会うことや話をする事を、ちゃんと公共の場で行って欲しかった。
(どうして瑞は私との事を公表してくれないの?)
本当に月娘を正妃にしたいと思っているなら、まず壬氏がその様に月娘を扱うべきだ。
そんな気持ちが壬氏から月娘を離していった。