【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第11章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜②
『私には必要が無いモノだから、誰にも知られずに処分してくれないか?』
それだけ伝えて簪を渡すと、壬氏は執務室に入って行った。
それを渡されたのが宇春だったのだ。
「……俺が簪を贈った事になるのか?」
「…宇春様がその様に月娘様に伝えたそうです。」
「…………………。」
その末路がこの折れた簪なのだから、月娘がどんなに怒っていたのか壬氏にも想像出来た。
「欧陽大臣の娘は2度と宮中には入らせるな。と言うか。呼ばれてもいないのに東宮に入った者は全員罰しろ。」
壬氏は右手で頭を抱えながら高順に指示をした。
しかしそんな対処だけでは、月娘の怒りを収められない事も分かっている。
「月娘を東宮に呼ぶ。枋太師に木管を出せ。」
月娘に手紙を送っても、無視されるだろうと壬氏はよんで、枋太師に標的を定めた。
狙いは良かったが、月娘はその命には従わなかった。
月娘に何も説明出来ないまま、宇春達の処分だけが決まった、
当たり前だが、月娘の気持ちは一向に晴れなかった。