【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第11章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜②
琥珀を割った音が綺麗に響いた。
その一瞬の出来事に、宇春はおろか、夏潤と僑香すら体を固めた。
月娘は渡された簪を一瞥する間もなく折ったのだ。
「なっ!何するんですか!!!」
宇春が月娘に掴みかかりそうになるのを夏潤が抑えた。
月娘はその様子を見ながら宇春に折れた簪を返した。
「今の出来事を、一語一句間違いなく瑞月様に伝えなさい。」
スッと椅子から立つと、月娘は目を細めて宇春を見下ろした。
「瑞月様に泣きつきながらね。」
それだけ言うと、宇春から目を離して、月娘は邸の中に入って行った。
庭から宇春の叫び声が聞こえたけど、月娘にとってはどうでもよかった。
「月娘様!!」
宇春を夏潤に任せて僑香は月娘の後を追った。
僑香が見た月娘の背中は震えていた。
怒りに肩を震わせて、袖の中で拳を強く握った。
『俺の月娘。』
そう言って月娘の頬に口付けをした壬氏を思い出す。
「……私にあんな事を言って、他の女人に簪を贈ったなんて…。」