【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第11章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜②
「よほど大切な用事があるんでしょうね。」
不躾の急な訪問も受け入れてやったのだ。
是非有意義な時間にしたいモノだ。
話を切り出されて、宇春は大きく口角を上げて簪を出して月娘に見せた。
「私、皇太子様に簪を贈られました。」
「!!!!!!」
勝ち誇った宇春の顔に、雷に打たれた様な衝撃が3人に走った。
流石の夏潤さえも、その言葉に笑みを消して口を開けて驚いていた位だった。
簪を贈る。
その意味がどういうモノか分かっていたから。
僑香は驚いた顔のまま、思わず月娘をチラッと見てしまった。
「……………。」
月娘は最初こそ驚いた顔をしたが、すぐにまた表情を戻していた。
……だからと言って。
心中が穏やかな訳ではない。
静かに怒りを溜めている月娘に気がつくと、僑香はゴクッと唾を呑んだ。
「……素敵な簪ね…。見てもいいかしら?」
そう手を差し出しだ月娘に、宇春は得意げに簪を渡した。
バキッ!!
「!!!!!」