【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第2章 後宮の外に毒の華が咲く②
「なんとしてでも、太師の娘の無実を立証してくれ。」
「………………。」
壬氏と月娘の噂は聞いたばかりだ。
流行歌の彼女が華瑞月から乗り換えた相手が壬氏だと。
(そう聞いていたが、実際はそうでもないのかもしれない…。)
壬氏は後宮で起こる事件には平等な人間だった。
こうして1人の人間の肩入れをする彼を猫猫は初めて見た。
さて……。
調査は壬氏に任せて…。
猫猫は渼の寝室を見渡した。
テーブルには毒を飲ませたと思われるお茶のカップが割れている。
小さなその茶器を見て、猫猫はうむと声を出した。
(少なくとも、死因が月娘様のトリカブトでは無い事はすぐに立証出来そうだ。)
壬氏の心配事はすぐに解決しそうだ。
後は有能な壬氏に任せれば事件の真相に辿り着けるだろう。
しかし、猫猫は知らなかった。
その有能な壬氏が、コト月娘の事になると無能になる事を。