【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第2章 後宮の外に毒の華が咲く②
「……何を隠している。薬屋。」
「近い近い近い…。」
グッと顔を寄せてくる壬氏に、猫猫はすこぶる嫌な顔をする。
「……昨日月娘様の横を通った時に、トリカブトの毒の匂いがしたんです。」
猫猫の言葉に、壬氏はピクッと眉を動かした。
「しかし月娘様が持っていたトリカブトは……。」
「調査庁の報告によると、今朝枋家で侍女の死体が出たそうです。」
「!!!!!」
なんとっ!!
これは偶然と言えるのだろうか。
その侍女が、渼の侍女に接触した侍女だと言う事は聞かなくても分かった。
「……太師に連絡して、枋家の娘を後宮に呼んでくれ。」
壬氏がそう言うと、千将軍はすぐに指示を出した。
「壬氏様!月娘様が持っていたトリカブトは…。」
「薬屋。」
慌てて続ける猫猫の言葉を壬氏が遮った。
「太師の娘は犯人じゃない…。」
そう表情を固くして言う壬氏に、猫猫は言葉を止めた。
その表情は月娘が犯人では無いと信じていて。
願っている顔にも見えた。