【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第11章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜②
あの月娘の笑みを見て、壬氏は不安になった。
もしかしたら、何か間違いを犯しているかもしれない。
そんな不安を覚えたのに、壬氏はそれが何なのか分からなかった。
この時、月娘ともっと時間を作り、彼女と話をしていたら。
他の苦労はあったかもしれないが、月娘と気持ちを違える事は無かったかもしれない。
でもそれは『今』思い返せば思い当たる後悔で。
その時の壬氏は必死に、彼なりに月娘を愛し、守っていたのだ。
ー
ーー
壬氏は相変わらず手紙をくれた。
自分の元に呼んではくれないが、手紙だけは変わらず壬氏の気持ちを伝えてくれる。
「………………。」
もうこの頃は壬氏が書いてくれた手紙の内容を、自分だけでも読む事が出来た。
なのにどうしてだろうか。
壬氏の言葉が理解出来れば出来るほど。
彼の心を疑う様になった。
「……僑香…、瑞はなんで手紙はくれるのに、私を宮に呼んでくれないのかしら……。」
「…… 月娘様……。」
悲しそうに手紙を見る月娘に、僑香の胸は痛くなった。