【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第11章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜②
高順の言葉に、月娘は再び雪我を見た。
彼女は真っ赤な顔で嫉妬を隠さずにこちらを睨んでいる。
その顔も気持ちも月娘はよく分かった。
やっと自分の目の前に来た壬氏を。
これから他の女人に渡さないといけないのだ。
(笑え…笑え…。)
皇后になる為の教養はすでに学んでいる。
月娘は何度も心の中で自分に命じた。
「月娘…。」
月娘はスッと壬氏の体を押して、ゆっくりと顔を上げた。
「瑞月様…、高順が困ってます…。」
そう壬氏に言った後に月娘は雪我の方を見て笑みを浮かべた。
「!!!」
その月娘の笑みを見た者の顔が赤く染まる。
息を吐く事も忘れて、まるで壬氏を見る様に月娘に食い入った。
「早く雪我様の元にお戻り下さい。」
そう言って壬氏にも笑顔を向けて彼の体をもう一度押した。
自分が上手く笑えていた事は、僑香や高順の顔を見て分かった。
だから早く今は壬氏から離れたい。
月娘はそんな気持ちで目を伏せた。