• テキストサイズ

【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】

第11章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜②


「…皇太子殿下…。」

月娘は袖を隠して、壬氏の前で軽く頭を下げた。

「……顔を上げて、月娘。」



月娘は壬氏の言葉に従いゆっくりと顔を上げる。

そして壬氏の目を捕える。



「久しぶりに会う月娘は、特段に美しい。」

壬氏は月娘の顔を両手で覆って、ニッコリと笑って言った。



「ぶはぁっ!」

「大丈夫か?僑香?色々噴き出てるぞ。」

「……お構いなく…。」



僑香は相変わらず流れる鼻血を拭きながら2人から顔を逸らした。

壬氏に甘い声と顔で囁かれても、月娘は口元を袖で隠したまま無表情で壬氏を見上げている。

月娘はチラッと雪我を見た。



「…殿下、雪我様がお待ちですよ…。」

この頃壬氏は色んな女人を自分の宮に招いていた。

女人達とどんな時間を過ごしているのかなんて、月娘は知る由も無い。



月娘だけは、昔の様に壬氏に呼ばれる事は無くなっていた。

「…ああ…。随分と宮女に志願した女人が増えたな。」

壬氏は含んだ笑みを浮かべると、同じ様に目だけで雪我を見た。
/ 408ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp