【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第2章 後宮の外に毒の華が咲く②
「……トリカブトの毒ですね……。」
死んだ才女の寝室で、死体の口を嗅ぎながら猫猫は言った。
「…毒殺か…。なんでまた…。」
壬氏は顔を歪めてため息を吐いた。
彼の知る限り才女である渼とは、後宮入りしたばかりで、特段皇帝と密な時間を過ごした訳ではない。
生家も皇室に力を侍らせている家臣とかでは無い。
都の大きな商人の家だと聞いていた。
皇室に力を持たない。
ましてや皇帝から寵愛を受けている訳ではない。
そんな彼女が何故殺されたのだろうか。
「…実は昨日、枋家の月娘様の侍女が、渼様の侍女と接触していた様で…。」
調査庁を取り仕切っている千将軍が壬氏の耳元で小さく言った。
(月娘様?!)
それが聞こえた猫猫の肩が跳ね上がった。
「………………。」
そんな猫猫の様子に気が付いた壬氏が、ジッと猫猫を見る。
壬氏のジトッとした目から目を逸らそうとするが、壬氏はズカズカと猫猫に詰め寄った。