【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第10章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜
「むしろ月娘が居るのに、他の妃を迎える気も無い。現帝だって皇太子時代は正妃1人で10年他の妃を迎えていないし、歴史上正妃だけの帝だって居たはずだ。」
現帝が皇太子から帝になった際に、後宮は更に大きくなり多くの妃が入ってきたが。
それは現帝に皇太子が居ないからだ。
「………それを実現するのは、かなり厳しい道ですよ。」
壬氏の強い意志は分かる。
しかしそれを現実にさせるのはかなり厳しい。
1番は月娘が、皇室で権力を持っている枋太師の娘だと言う事だ。
月娘が皇后になってしまえば、皇室の均等が崩れる。
他の大臣や太師。将軍など、それを良しと思わない人物達がこれからどんどん自分の身内の娘を後宮に送ってくるだろう。
その時に、この幼い皇太子は月娘を守れるだろうか。
壬氏にもまた、後宮を抑えるだけの器が試される。
「… 月娘のためなら、どんな事でもやってやるよ。」
壬氏の決意に一旦言いたい事の全てを高順は飲み込んだ。
願うのは、この幼い2人が笑顔で過ごせる未来だ。