【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第10章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜
「それは困ったな。きっと月娘には俺の気持ちの半分も伝わっていない様だ。」
月娘から貰ったその拙い手紙を。
壬氏は嬉しそうに眺めた。
「…………。」
そんな壬氏を高順は目を細めて少し微笑んだ。
最近は頑張って月娘に張り付くのを我慢している。
この位のご褒美があっても罰は当たらないだろう。
「…しかし月娘様は今のままではいけないですね。」
ボソッと言った高順に壬氏は顔を上げた。
「このままでは月娘様は正妃はおろか側室にも入れるか分からないので、枋太師は今回かなりキツイ罰を月娘様に与えた様ですよ。」
高順の言葉に壬氏は眉を顰めた。
「月娘が正妃にならないのなら、俺は誰も妻に迎えない。」
そう高順にハッキリと言った。
これは水連が聞いたら大変な事になりそうだ。
徹底的に月娘を排除するだろう。
「瑞月様…。それは外では絶対に言わない方がいいですね。」
高順に諭されても、壬氏は歪めた顔を直さない。