【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第10章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜
「瑞月様は、月娘様がとても気に入っているんですね。」
その水連のニッコリ笑った笑みに、壬氏はゾッとした。
(月娘が隠される!!??)
ニコニコ笑っている水連の目先で、壬氏は顔を真っ青にして体を震わせた。
「……別に…。月娘だけと遊ぶ訳じゃない…。」
そう言うのが精一杯だった。
だけど壬氏のその言葉に満足そうに水連が笑ったから。
月娘と今まで通り会えなくなるのは覚悟した。
だけど…。
月娘と会えなくなったら、何をすればいいのだろうか。
自分には皇太子になる為の勉強や教養ははたして必要なのだろうか。
自分が今すべき事が何か分からないけど。
月娘とは会いたい。
そんな気持ちだけが壬氏には残った。
「月娘様と会う形は、今と少し変わるだけですよ。」
思い悩んでいる壬氏に、高順は声を掛けた。
壬氏が皇位継承に興味が無い事を高順は知っていた。
興味が無い所か、その事に嫌悪さえ覚えているのも。