• テキストサイズ

【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】

第9章 花街に毒の花が咲く⑤


思惑通りに、満足そうに笑みを浮かべる夏潤に、月娘は一瞬肩の力を抜いた。



この男は本当に食えない相手だ。

世間では月娘達が本当の兄妹の様に言われているが、全くの事実無根だった。

2人の関係は従兄弟同士で間違いは無い。



間違っているのは関係ではなくて。

夏潤の月娘への、この粘着質な執着だろう。



(……この男の私への思いは兄妹愛では無い。)



月娘が皇室に入ってしまったら、2度と手に入らないと分かっているから。

夏潤は絶対に月娘を皇室に入れさせようとはしない。



高侖(ガオロン)との結婚の話だって、ただ彼を利用しただけだ。

自分は矢面に立たず、皇室から月娘を離し。

高侖だったら簡単に月娘を奪えると思ったのだろう。



(……あの時は瑞に疲れていたからと、恐ろしい事を諦めてたわ…。)

逃げても追いかけてくるだろう夏潤に疲れて、どうでもいいと諦めていた自分に気持ちを切り替えた。



今は何があったって壬氏と添い遂げたい。

もう2度と迷わない。



私の今生の相手は瑞だけ。
/ 408ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp