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【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】

第9章 花街に毒の花が咲く⑤


いつもいつも、ありもしない罰を与えられてきたのに比べれば。

今回は気分よく痛みに耐えられそうだ。



「……俺の小可愛には、話が必要そうだ。」

そう言って夏潤は月娘の腰を自分に引き寄せた。



月娘は素直に夏潤の腕の中に入ったが。

袖で口元を隠し。その目は決して穏やかしては無い。



話し合いで終わる訳がない。



それでも月娘は黙って夏潤に着いていく。



広い屋敷の園庭を歩いて向かっているのは、離れに建てられている夏潤の宮だろう。

その道中を夏潤はまるで自分の家の様に歩いている。

月娘はチラッと頭を下げている下女達を見た。



枋家の使用人に相応しく、綺麗に頭を下げ。

屋敷も完璧に管理されている。



その完璧ない枋家にこの男がこうして主君の様に振る舞うのは。

枋太師が夏潤を枋家の跡取りと考えているからなのだろう。



月娘の母親の死後、枋太師は他の女人と再婚をしなかった。

男児が居ない枋家にとって跡取りは問題であったが、その時すでに居た夏潤を父親は跡取りと考えていたと、月娘は幼い頃から分かっていた。
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