【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第8章 【R指定】花街に毒の花が咲く④
(あ…小猫それは……。)
高順が猫猫を止めようと思った時には遅かった、
壬氏は本当に不機嫌そうに、体を崩して座り始めた。
夏潤が1番の女人を決めているなら、それが月娘だと、あの姿を見てすぐに分かったからだ。
壬氏が夏潤を気に入らない理由はまさに。
夏潤が月娘を見る目だった。
(アレは男が女を見る目だった。)
壬氏は夏潤の眼差しを思い出すと、眉間に皺を寄せた。
(実際に鄭夏潤が月娘様を溺愛しているのは有名だった。)
壬氏は覚えていないかも知れないが高順はよく覚えていた。
月娘の側には幼い頃から夏潤が居た。
壬氏が月娘と距離を取った辺りから、まるで護衛の様に夏潤は月娘に張り付いて宮殿にも来ていた。
月娘と同じ様に枋太師に着いて来て宮殿に入った男児を、枋太師の婚外子だと噂するのは仕方が無かった。
それくらい、夏潤は枋家でも大切に扱われていた男だった。
(あの小さかった男の子が、今では茘国一の将軍にまで成ったのか…。)
身内だから気にするなと言うには、同じ男として無駄な気遣いだ。